シャネル&ストラヴィンスキー2010年01月26日 12:15

シャネル&ストラヴィンスキー
去年から公開が続いている、シャネルの映画第3彈を見ました。

☆シャネルの2つの映画
http://officesasaki.asablo.jp/blog/2009/09/22/4592526

前2作の「ココ・ヴァン・シャネル」は、デザイナーとしてデビューするまでを、「ココ・シャネル」は、戦後の復活と最愛の人ボーイとの悲しい別れを描いていましたが、「シャネル&ストラヴィンスキー」は、第一次大戦前後の時代が舞台。香水“シャネルNo.5”の開発と、作曲家ストラヴィンスキーとの恋を軸に展開していきます。

ストラヴィンスキーといえば、「火の鳥」「ペトリューシュカ」「春の祭典」のバレエ音楽etc.で知られる“不協和音の天才”。映画は「春の祭典」初演が失敗に終わったところからスタートします。伝説のダンサー、ニジンスキーの大胆な振り付けもあり、優雅で華やかなバレエの世界を期待してきた観客は、音楽にも踊りにも怒声を浴びせて席を立ち、会場は大混乱に陥ります。その中で新しい芸術に理解を示し、不敵に微笑むシャネル。

その後、ロシア革命をはさんで家族と亡命してきた失意のストラヴィンスキーに、シャネルは援助の手を差し伸べます。郊外の別荘を一家に提供し、生活をともにするようになる。2人が恋に落ちるのは時間の問題でした。

一つ屋根の下に暮らす妻に悟られ、苦悩するストラヴィンスキーに比べ、モラルを超越したシャネルの毅然とした姿があっぱれです。インスピレーションを受ける相手に惹かれ、刺激を与え合うことを恐れない。

主演のアナ・ムグラリスは、目力が強い意志的な顔立ちで、実際のシャネルはこんな人だったのだろうと思わせるに十分な貫禄です。さすが、現役のシャネルのミューズだけあって(香水と時計のイメージキャラクターを務めているそう)、当時を再現した衣裳の着こなしが見事です。細く長い首、脂肪のない鎖骨や肩甲骨。体型的にもシャネルの雰囲気にぴったりで、くわえタバコで仮縫いをし、ポケットに手を入れて(女性の服に初めてポケットをつけたのもシャネルだそうです)さっそうと歩く姿もサマになって、個人的にはやせぎすタイプが好きではない私も美しいと思いました。

3作の中では、もっともファッショナブルな映画ですね。香水誕生のエピソードがあっさりしていて若干物足りないのですが、2人の才能がぶつかりあい、火花が散る恋愛ドラマとしては見ごたえがありました。

☆映画「シャネル&ストラヴィンスキー」公式サイト
http://www.chanel-movie.com/
監督/ヤン・クーネン
出演/アナ・ムグラリス、マッツ・ミケルセンほか
フランス/2009年/119分
2010年1月より、全国ロードショー開催中!

〈追記〉
Bunkamuraのトークイベントのレポート(ゲストは評論家の秦早穂子さん)が下記にUPされています。ご興味ある方はこちらもどうぞ。(2010.2.22)
http://blue.tricorn.net/bunkamua/j.x?v=3566&u=53244