青春のロシア・アヴァンギャルド2008年08月18日 11:13

ピロスマニ
先週、渋谷Bunkamuraのザ・ミュージアムで開催中の展覧会に行ってきました(残念ながら会期終了)。モスクワ市近代美術館所蔵の20世紀初頭の作品が中心。全70点すべてが日本初公開だそうです。

シャガールやカンディンスキーは好きなんですけど、キュビスムなどの前衛美術は、正直あんまりピンと来ない私。今回もジツは、グルジアのルソーとも呼ばれるニコ・ピロスマニの作品がお目当てでした。

ピロスマニ、ご存じでしょうか。前衛とは正反対の素朴なタッチで、ユニークな作品を残した画家です。彼の絵は、かつて池袋にあった西武美術館で開催された展覧会で初めて出会ったのですが、すごく惹かれました。民衆の生活を描いたものや居酒屋の看板、愛した女優の肖像など、印象的には「かわいい」感じの絵なんですけど、暗い色彩に浮かぶ詩情というか・・・がいいんですよね。

今回は10点ほど展示されていましたが、白熊の親子をテーマにした絵などにはやや厳しい雰囲気が漂っていて意外に思いました。動物好きな彼は、寒い国の自然の厳しさの中で生きる彼らに、自身の苦難の人生(これもまた今は亡き三百人劇場で伝記映画を見ました。生前は恵まれず、不遇な生涯でした)を重ねあわせていたのかもしれません。

展覧会はアヴァンギャルドな流れを紹介したものでしたが、個人的には久しぶりのピロスマニに満足して帰ってきのでした。

☆青春のロシア・アヴァンギャルド
http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/08_moscow/index.html
館内で3分だけ上映されていたSF無声映画「アエリータ」(トルストイ原作)もとてもよかったです。斬新な衣装が全然、古くなくて、全編見たくなりました。