いつか介護がやってくると思いつつ、当事者にならないうちは「まだ元気だし…」「縁起でもないから考えたくない」とついつい先延ばしにしがち。そして、いざ直面すると大変さに悩み、仕事や育児との両立に疲れ果ててしまう…。がんばりすぎた結果、介護うつや介護離職に至ることも少なくありません。さらに追い詰められて引き起こされるのが、虐待や介護心中などの痛ましい事件です。
著者の橋中今日子さんは、理学療法士として病院に勤務するかたわら、認知症のお祖母様、重度身体障害のお母様、知的障害の弟さんの3人をシングルで21年間介護してきた方。現在は、ご自身の経験をもとに、全国の市区町村や企業で「がんばらない介護」を伝え、介護離職を防止する研修やセミナーなど、多彩な活動を展開されています。
今回の本は、ご自身のブログ
「介護に疲れた時に、心が軽くなるヒント」によせられた数多くの悩みから生まれました。介護する人に寄り添いたいとの橋中さんの思いから、具体的なエピソードを紹介し、悩みや質問に答えるかたちで展開しています。タイトルや見出しを話し言葉にして、ソフトな雰囲気にまとめました。複雑な介護保険の仕組みも「これさえ押さえればだいじょうぶ!」という実践的な内容になっています。
介護関連のお仕事は、和田秀樹先生の
「働きながら、親をみる―自分の人生をあきらめない介護」以来、2冊目ですが、介護休業や時短勤務etc.の選択肢が増え、仕事と両立がしやすい環境が少しずつ整いつつあります。ただし、介護保険にしろ、介護休業にしろ、情報を知らなければ活用することもできません。まわりに介護する方がいらっしゃればぜひご一読ください。介護予備軍の方、介護中の方に役立つ情報満載です。
●がんばらない介護
著者:橋中今日子
価格:1500円+税
発売:2017年3月
[内 容]
だいじょうぶ。もっとラクなやり方、ありますよーー。認知症の祖母、重度身体障害の母、知的障害の弟を1人で21年間介護してきた、理学療法士だからわかる「介護の心を軽くする36のコツ」。介護のつらさや苦しさを1人で抱え込まず、周囲の人たちと負担をわかちあいながら「がんばらない介護」を実践するための情報を紹介。
[目 次]
第1章 「1人でがんばらなくていいんですよ」
―介護保険制度やサービスを使いこなす方法
「どこに相談すればいいの?」
→迷ったら“介護のよろず相談所”地域包括支援センターへ
「制度が複雑でわからない…」
→介護のことは自分で勉強せず、専門家に聞くのが早い etc.
〈教えて介護保険1〉一番下の「要支援1」でも介護サービスが受けられる
第2章 「仕事を辞める必要はないんですよ」
―介護と仕事を両立させる方法
「介護の大変さ、わかってほしい」
→1人で抱え込まず、愚痴や弱音を吐ける相手や場所をつくる
「特別扱いはできないよ」
→介護休暇をフル活用し、有給休暇は自分のために使う etc.
〈教えて介護保険2〉「要介護2」より「要介護3」のほうが使えるサービスの幅が広がる
第3章 「家族だからって辛抱しなくていいんですよ」
―家族間のトラブルを解決する方法
「あの親の介護をなぜ私が?」
→関係がよくない親なら、愛ある介護じゃなくていい
「私1人に押しつけないで!」
→きょうだいとは得意なことを分担、親戚はイイトコどりで etc.
〈教えて介護保険3〉「要介護」のランクがあがらないときは伝え方を変える
第4章 「息抜きの時間が一番大切なんですよ」
―“介護うつ”にならない方法
「施設に行かせるのはかわいそう」
→親がいやがるのは最初だけ。介護サービスはどんどん利用する
「入浴や食事をゆっくりしたい!」
→介護の場から完全に離れて、自分の時間をつくる etc.
〈教えて介護保険4〉 施設での介護が現実的になる「要介護4」
第5章 「自分の人生を優先していいんですよ」
―介護で人生をあきらめない方法
「たびたび帰省する時間がない」
→遠距離介護こそ、介護サービスをフル活用する
「私だけ幸せになっていいの?」
→介護を理由に、恋愛や結婚をあきらめてはいけない etc.
〈教えて介護保険5〉「要介護5」では、施設の活用のしかたがカギになる
〈追記〉
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