がんばらない介護2017年03月31日 15:35


書影 がんばらない介護

介護する人のメンタルケアをテーマにした書籍「がんばらない介護」のお手伝いをさせていただきました。

いつか介護がやってくると思いつつ、当事者にならないうちは「まだ元気だし…」「縁起でもないから考えたくない」とついつい先延ばしにしがち。そして、いざ直面すると大変さに悩み、仕事や育児との両立に疲れ果ててしまう…。がんばりすぎた結果、介護うつや介護離職に至ることも少なくありません。さらに追い詰められて引き起こされるのが、虐待や介護心中などの痛ましい事件です。

著者の橋中今日子さんは、理学療法士として病院に勤務するかたわら、認知症のお祖母様、重度身体障害のお母様、知的障害の弟さんの3人をシングルで21年間介護してきた方。現在は、ご自身の経験をもとに、全国の市区町村や企業で「がんばらない介護」を伝え、介護離職を防止する研修やセミナーなど、多彩な活動を展開されています。

今回の本は、ご自身のブログ「介護に疲れた時に、心が軽くなるヒント」によせられた数多くの悩みから生まれました。介護する人に寄り添いたいとの橋中さんの思いから、具体的なエピソードを紹介し、悩みや質問に答えるかたちで展開しています。タイトルや見出しを話し言葉にして、ソフトな雰囲気にまとめました。複雑な介護保険の仕組みも「これさえ押さえればだいじょうぶ!」という実践的な内容になっています。

介護関連のお仕事は、和田秀樹先生の「働きながら、親をみる―自分の人生をあきらめない介護」以来、2冊目ですが、介護休業や時短勤務etc.の選択肢が増え、仕事と両立がしやすい環境が少しずつ整いつつあります。ただし、介護保険にしろ、介護休業にしろ、情報を知らなければ活用することもできません。まわりに介護する方がいらっしゃればぜひご一読ください。介護予備軍の方、介護中の方に役立つ情報満載です。

●がんばらない介護
著者:橋中今日子
発売:ダイヤモンド社(コチラで立ち読みできます)
オンライン書店:アマゾン楽天ブックスhonto
価格:1500円+税
発売:2017年3月

[内 容]
だいじょうぶ。もっとラクなやり方、ありますよーー。認知症の祖母、重度身体障害の母、知的障害の弟を1人で21年間介護してきた、理学療法士だからわかる「介護の心を軽くする36のコツ」。介護のつらさや苦しさを1人で抱え込まず、周囲の人たちと負担をわかちあいながら「がんばらない介護」を実践するための情報を紹介。

[目 次]
第1章 「1人でがんばらなくていいんですよ」
     ―介護保険制度やサービスを使いこなす方法
    「どこに相談すればいいの?」
     →迷ったら“介護のよろず相談所”地域包括支援センターへ
    「制度が複雑でわからない…」
     →介護のことは自分で勉強せず、専門家に聞くのが早い etc.
〈教えて介護保険1〉一番下の「要支援1」でも介護サービスが受けられる

第2章 「仕事を辞める必要はないんですよ」
     ―介護と仕事を両立させる方法
    「介護の大変さ、わかってほしい」
     →1人で抱え込まず、愚痴や弱音を吐ける相手や場所をつくる
    「特別扱いはできないよ」
     →介護休暇をフル活用し、有給休暇は自分のために使う etc.
〈教えて介護保険2〉「要介護2」より「要介護3」のほうが使えるサービスの幅が広がる

第3章 「家族だからって辛抱しなくていいんですよ」
     ―家族間のトラブルを解決する方法
    「あの親の介護をなぜ私が?」
     →関係がよくない親なら、愛ある介護じゃなくていい
    「私1人に押しつけないで!」
     →きょうだいとは得意なことを分担、親戚はイイトコどりで etc.
〈教えて介護保険3〉「要介護」のランクがあがらないときは伝え方を変える

第4章 「息抜きの時間が一番大切なんですよ」
     ―“介護うつ”にならない方法
    「施設に行かせるのはかわいそう」
     →親がいやがるのは最初だけ。介護サービスはどんどん利用する
    「入浴や食事をゆっくりしたい!」
     →介護の場から完全に離れて、自分の時間をつくる etc.
〈教えて介護保険4〉 施設での介護が現実的になる「要介護4」

第5章 「自分の人生を優先していいんですよ」
    ―介護で人生をあきらめない方法
    「たびたび帰省する時間がない」
     →遠距離介護こそ、介護サービスをフル活用する
    「私だけ幸せになっていいの?」
     →介護を理由に、恋愛や結婚をあきらめてはいけない etc.
〈教えて介護保険5〉「要介護5」では、施設の活用のしかたがカギになる

〈追記〉
「がんばらない介護」の特集ページに掲載されている、落合恵子さんとの対談をまとめさせていただきました。落合さんのエッセイ「母に唄う子守唄ーわたしの介護日誌」「同 その後」は、介護の日々と同時進行で新聞連載されていたものです。つらく哀しく苦しい思いがおありだったでしょうに抑えた筆致で書かれていて感銘を受けました。

母に唄う子守唄.jpg