オペラ「蝶々夫人」2009年01月25日 11:57

オペラ「蝶々夫人」
友人に誘われて、初台の新国立劇場に初めてオペラを見に行ってきました。

演目はプッチーニの「蝶々夫人」。アメリカ海軍士官のピンカートンが、芸者の蝶々さんを身請けして現地妻にするというストーリー。日本人としては微妙な部分も多々あるものの・・・いちずに愛を貫く女性の物語として素直に楽しめました。階段を中心にしたシンプルで美しい舞台装置を活かした演出も効果的だったと思います。

愛のために改宗し、親戚から絶縁されることも辞さない覚悟。帰国した夫を待ち続ける信念。相手の裏切りを知り、子どもの将来を託して死を選ぶ姿(蝶々さんは没落士族の娘という設定で、結婚当時はなんと15歳!)。蝶々さんを演じたのはアルメニアの女性歌手でしたが、ピンカートンとアメリカ領事以外のキャストは日本人で違和感も少なく、息子役で登場する3歳ぐらいの男の子(さすがに歌はなし)もすごく可愛らしかったです。

イタリア語上演ですが、舞台両サイドの電光掲示板に歌詞の日本語訳が表示されるので(やはり日本人にはありがたいです)、物語に溶け込みながら、コーラスやデュエットにもしみじみ聞き入ってしまいました。

でも、やっぱり圧巻は有名なアリア「ある晴れた日に」です。愛しい人を待つ気持ちを情景描写にこめながら歌う姿には感動してしまいました。ピンカートンの脳天気さに引き換え、大和撫子のなんとけなげなことでしょう! 篤姫が言うとおり、女の道は一本道なのでございます(^_^)

異国情緒を押し出したフジヤマ&ゲイシャもの・・・という先入観がありましたが、当時(初演は1904年)としては、日本人の価値観をかなり正確に汲み取っている作品だったんですね。伝統ある国日本に対して、新興国アメリカの不実なふるまいを揶揄しているようにも感じられて、認識を新たにしました。

しかし、オペラはCDだけ聞いてもわかりません・・・やっぱり舞台を見てこそ。歌詞の意味さえわかれば、歌舞伎との共通点も多く、日本人にも楽しめると思います。というか、オペラって西洋の歌舞伎だったのね! このところ、引きこもって原稿と格闘していたので、いい気分転換になりました♪

☆オペラ「蝶々夫人」@新国立劇場
http://www.atre.jp/preview/09butterfly/
前回公演の写真が中心なのが残念ですが・・・舞台の雰囲気はわかっていただけると思います。