りんごの花、梨の花2009年05月11日 19:28

りんごの花、梨の花
連休前後はバタバタだったので、ひさびさにブログ復活です。世間では15連休という方もいらしたようですケド、今年は半分ぐらい仕事モード・・・(>_<) しかし、お天気のよかった連休半ばに、ダンナの実家、福島に行ってきました。

福島市内とはいえ、かなり郊外で、実家のすぐ横をフルーツラインという道路が通っています。その名のとおり、周辺には果樹園がいっぱい。今の季節は、りんごと梨の花が満開で、桜とはまた違ったお花見が楽しめました。

近所をお散歩すると、あちこちで「花摘み」がおこなわれていました。ハタで見ている分には風流ですけど、何十本、何百本とある木を、全部人の手で作業するわけですから重労働ですよね・・・果樹園の中に点在する田んぼには水が流れ込み、ぼちぼち田植えも始まっでいました。ああ、新緑から梅雨になって、青々とした稲に育って・・・季節がめぐっていくんですねえ。

我が家の周辺も、まだまだ畑が残っているエリアですが、こののどかさと季節感は味わえません。ずっと地方で育ったので、土の香りが感じられ、穏やかな山並みが見える環境(福島は盆地なので、どこからでも山が見えます)に来るとホッとします。東北の山菜や取れたての野菜(お義父さんが丹精した家庭菜園では、グリーンアスパラがニョキニョキと)をたくさん食べて帰ってきました(^_^)

写真上左:鈴なりに咲く、りんごの花。摘んじゃうのが可哀想・・・
写真上右:花摘み終了後と思われる梨の木。りんごと違って棚になっています。
写真下左:背の高いハウスはさくらんぼ用。蚊帳で覆われているように見えます。
写真下右:山道に咲いていたツツジ。野の花って風情がありますよね♪

一瞬の輝き〜まぼろしの薩摩切子2009年05月12日 19:00

まぼろしの薩摩切子
いやあ、もう大満足です。薩摩切子の名品がこんなにたくさん見られるなんて! まさに至福のひとときでございました。

3月から六本木のサントリー美術館で始まっていた「まぼろしの薩摩切子」展にようやく行けました。昔からガラスを見るのが好きで、吹きガラスも、カットグラスも、レトロ系の食器etc.も、みんな好きなのですが、和物ではやっぱり薩摩切子だなあと思います(ちなみに西洋物ではルネ・ラリックがお気に入り☆)。

サントリーのコレクションは、美術館が赤坂にあった頃からちょこちょこ見ていたのですが、薩摩切子だけをこれだけ系統立てて見たのは初めてだと思います。質も量も構成も、とても充実していました。

なかでも、徳川美術館から出品されていた、篤姫お輿入れの際のお道具は見事なもので、全部切子で揃えた雛道具(しかもミニチュアサイズ)を見た時は倒れそうになりました。立派な一対のデキャンタ(こちらは通常サイズ)は白酒を入れて使われたそうで・・・うーん、なるほど!

☆ブルータス副編集長のブログ(雛道具のPHがUPされています)
http://fukuhen.lammfromm.jp/2009/03/post_581.html

しかし、島津斉彬が藩主だった時の7年余り、先代からの時期を含めても10数年というごく短期間につくられたものなのに、こんなに美しく、完成度の高い製品が生み出せたなんて奇跡のようです。江戸切子もステキですが、こちらはシンプルであっさりめの製品が多い。

独特のカットは最初、イギリスやアイルランドのものがお手本だったようですが、結局、霰(あられ)、菊、麻の葉、籠目、亀甲、魚子(ななこ)など、日本の伝統紋様をモチーフにして練り上げられ、西洋のギヤマンが和の工芸へ昇華しているところがスゴイなあと思います。しかも成形の難しいガラスという素材で、蓋物やお重など、キッチリ寸法があわないと成立しないものを制作していたり。

☆モダンリビング編集部員のブログ(こちらのPHも美しい・・・)
http://mdnlvng.exblog.jp/11196463/

西洋の工芸品は、細部まで見ていくとアバウトな部分があり、そこにまた味わいもあるのですが、漆器や蒔絵、染物、指物などの工芸品は、人の手によるものとは思えないほどの神業的な完成度があります。黄金比率といっていいのか、破綻やゆがみのようなものがほとんどない。しかも「作家物」ではない市井の職人の作でもそうなのですから、日本人の美意識自体にバーフェクト感を求める傾向があるのでしょうね。

しかし、なんといっても薩摩切子のすごさは、透明なガラスに色ガラスを被せて、それを進化させたことでしょう。今回はこれまであまり紹介されてこなかった、透明な薩摩切子にもスポットがあてられていて、それも大変美しいのですが、ボヘミアンガラスのような透明なカットグラスにせず、単なる色ガラスにもせず、色被せガラスに大胆なカットを施すという発想が素晴らしい。

色彩が加わることで、光の屈折や表現にバリエーションが増え、ガラス特有の透明感や質感がさらに際立つ。そこに着眼した斉彬という人は(最初から色ガラスの製造を命じていたようです)、藩主というだけでなく、プロデューサーとしても優れていたんだなと思います。

斉彬の急死と幕末の動乱で、薩摩切子の製造は終焉を迎えました。彼が生きていれば、切子の伝統はもっと続いていたのでしょうか。こわれやすいガラスという素材のはかなさともあいまって、「一瞬」だったからこそ、限られた作品が美しい輝きを放っているような気がします。

☆「一瞬のきらめき〜まぼろしの薩摩切子」展
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/09vol02/index.html
5月17日(日)まで、六本木のサントリー美術館で開催中
6月13日〜8月30日、神戸市立博物館へ巡回

はじめてリーダーになる人の教科書、重版!2009年05月19日 17:17

はじめてリーダーになる人の教科書、重版!
お手伝いさせていただいた「はじめてリーダーになる人の教科書」(柴田陽子=著 中経出版)が、重版になりました! 先月中旬の発売から約1カ月。早々の重版決定は、なかなかいい出足です。

☆はじめてリーダーになる人の教科書(本ブログの過去記事です)
http://officesasaki.asablo.jp/blog/2009/04/23/4261601

編集のTさんによれば、アマゾンetc.のネット書店より、リアル書店での売れ行きが好調らしく、追加注文のリクエストが順調に届いているとか。見開きで読み切りの構成、わかりやすいテキストも評判がいいらしいです。

ターゲットが明確なタイトルと目立つ装丁もよかったのかなと思いますが、同時期に別の版元さんから、柴田さんの自伝エッセイ(こちらはカラー写真満載のおしゃれな体裁)が刊行されたので、相乗効果もあるのかもしれません。

☆コンセプトライフ(柴田陽子=著 サンクチュアリ出版)
http://www.amazon.co.jp/dp/4861139317/ref=pd_sim_b_2

アマゾンのレビューはまだ1個ですが、ブログ検索でも感想がチラホラHITし始めたのが、ウレシイです♪ 店頭で見かけたら、手にとってみてくださいませ。

〈追記〉
もう3刷決定!だそうです。早くてビックリ。(2009.5.30)

武相荘2009年05月30日 17:05

武相荘
だいぶ季節はずれのネタになってしまいましたが、先月、白洲次郎&正子夫妻の自宅「武相荘」に行ってきました。一度訪ねたいと思っているうちに、NHKのドラマが放送されてしまい・・・(>_<) やはりドラマを見てその気になっている両親と一緒に、混雑をカクゴで遠征してまいりました(結局、ミーハーな親子でございます)。

第二次世界大戦を前に疎開した「郊外」という印象が強かったのですが、最寄り駅の鶴川は新宿から小田急線で30分ぐらい。思いのほか近く、今や都心のベッドタウンですね。しかし、駅からてくてく歩いていくと、昔はのどかな田園地帯だったという面影が残り、気持ちのいい風景が広がります。

鶴川街道から少し入った、なだらかな丘の上に、武相荘はありました。風情ある長屋門を抜けると、古い農家を改築した母屋をはじめ、いくつかの建物が寄り添うように建っています。母屋はかなり広く、次郎自作のスタンドや家具、正子が愛用した着物や食器etc.がたくさん展示してありました。書物に埋もれるような正子の書斎も生前のまま。茅葺きの家ならではの落ち着いた雰囲気です。

上流階級出身で留学経験があり、相当ハイカラな夫妻だったわけですから、独特の趣味で統一された住まいや調度品は、見応えがありました。が、実際、訪ねてみて、ショックを受けたのも事実です。

というのも、正直言うと、行く前は和洋折衷の「おしゃれな古民家」を見物する気分だったのです。しかし・・・現地に行って、彼らのライフスタイルの本気度と筋金入りの美意識がよくわかりました。単なる土地家屋でなく、彼らは「住環境」そのものを楽しみながら、暮らしていたのだと。

次郎が耕作に励んだという田畑は、ほとんど残っていませんが、周囲には今でも十分、散策が楽しめる竹林や裏山が広がっています。庭と呼ぶにはあまりにも広大で、眺めがよく、自然の中に住まいがあるという感じです。四季折々ので変わる、花や緑や風や陽射し。季節の息吹が感じられ、心がのびのびとする穏やかな環境がそこにはありました。

しかし、夏は暑く、冬は寒く、自然の厳しさも身に染みたことでしょう。戦前から亡くなるまで、ここで暮らした正子はやっぱり相当、根性のある人ですね(^_^;) このところの白洲夫妻ブームで、時折、観光バスまで立ち寄るスポットになっているようですが、行ってよかった(平日だったし、遭遇は避けられました)。リタイヤしたら、田舎暮らしもいいなあ・・・かなわぬ夢ながら、そんなことも考えたのでした。

写真上左:白州邸の入口。正面奥が移築してきたという長屋門。
写真上右:茅葺き屋根の建物が母屋。手前はティールームになっています。
写真中左:竹林の緑がさわやか。風がひときわ爽快に思われます。
写真中右:母屋の裏手にある山。正子が朝晩、散策したそうです。
写真下左:大きな備前の壺に季節の花を飾るのが好きだったようです。
写真下中:郵便入れに使っていた臼。看板は次郎作。
写真下右:玄関。レトロな照明器具もいい感じでした。

☆旧白洲邸/武相荘(ぶあいそう)
http://www.buaiso.com/
武蔵と相模の中間だから・・・という洒落たネーミングです、

☆NHKドラマスペシャル「白洲次郎」
http://www.nhk.or.jp/drama/shirasujirou/
2回まで放送されたのに、最終回の3回目が8月なのはなぜなんでしょう?