アラビアのロレンス2009年02月11日 11:09

アラビアのロレンス
先週、新宿のタイムズスクエアで「アラビアのロレンス」を見ました。これはスクリーンで見るべき映画なのでは・・・と思っていたので、今まで一度も見たことがなかったのです。

部隊は、第一次世界大戦中のアラビア。トルコの圧政に苦しむアラブの人々に心を寄せる英国陸軍少尉のロレンスは、対立する部族を結束させ、大胆なゲリラ線を展開。近代兵器と先方を駆使して快進撃を続け、やがてアラビアのロレンスと呼ばれるようになるのですが・・・という物語です。

主演のピーター・オトゥールは軍服姿だと自信なさげなアウトサイダーなのに、アラブの民族衣裳をまとうと堂々とした風格があります。族長を演じるオマー・シャリフ(自由と独立を求める知性派)、アンソニー・クイン(勇猛だけど強欲な土俗派)もハマリ役でとてもよかったです。最初の戦闘でアカバという港を攻略するのですが、砂漠から街へそして海へと駆け抜けていくシーンは、まさに圧巻でした。

しかし! この映画の主役は、なんといっても砂漠です。冒頭で現地ガイドとともに、ロレンスがラクダに乗って(ラクダって「またがる」んじゃなくて、「座る」感じで乗るんですね。初めて知りました)。砂漠を横断します。360度見渡す限り続く砂の平原。ゆらめく陽炎。地平線のはるか彼方から何者かが近づいてくるシーンがジツに素晴らしい。豆粒のように小さい物体が近づいてきて、ようやく人だとわかるのですが、延々と時間をかけた長回しで撮ることで、砂漠の広さ・暑さ・厳しさ・美しさがストレートに伝わってきます。

そう、砂漠って美しいのですね。真っ平な場所、起伏の大きな場所、岩石がそそり立つ場所。厳しい環境だけれど、多彩なバリエーションがあり、自然の雄大さに打ちのめされます。そして、赤道に近い地では太陽も月も大きいんですよね〜。この大きな自然を舞台に部族だとか、国家だとかで小競り合いを繰り返している人間って・・・そのむなしさがしみじみと感じられます。映画の中に「砂は清潔」という言葉がありましたが、悠久の時を経て、ただ、そこにある砂のなんと美しいことか!

70mmフィルム(現在は35mm。70mmで回す技術も機材も既にないそう)で撮るにふさわしい圧倒的なスケール。動員・物量も半端じゃありませんが、現地ならではの迫力と撮影に賭ける根性がヒシヒシと伝わってくるホントにすごいロケです。「らしければいい」「ここはCGで」みたいなゴマカシが一切ない本物の素晴らしさ。なんだかスゴイもの見ちゃった・・・よいうのが率直な感想です。

インターミッションありの映画(前後編で227分!)も久々でしたが、「えっ、もう前編が終わっちゃったの!?」と驚くほど、長さを感じませんでした。機会があればスクリーンでゼヒ。

☆アラビアのロレンス 完全版
http://www.lawrenceofarabia.jp/
監督/デヴィッド・リーン
出演/ピーター・オトゥール、オマー・シャリフ、アンソニー・クインetc.
イギリス/1988年/227分(1962年版は207分)
第35回アカデミー賞7部門受賞
新宿テアトルタイムズスクエアにて、2月13日まで上映中

※アカデミー賞7部門受賞だけど、作品賞・監督賞・撮影賞・作曲賞・美術賞・音響賞・編集賞だけで、俳優はだれも受賞していない・・・やっぱり主役は「砂漠」だったのですね! 女性はチャドル姿の一群がチラッと映るだけ。どこまでいっても、男・おとこ・オトコばっかしなのもよかったですね(^_^)