勝てる!戦略営業術2010年01月19日 15:03

勝てる!戦略営業術
ひさびさにビジネス書のご紹介です。今回のテーマは「営業」。お手伝いさせていただいた本は、これで10冊目になりました。

「営業」という仕事にどういうイメージをお持ちでしょうか。巧妙なセールストークで商品を売りつける仕事? ノルマにおわれ、結果がすべての仕事? 熱意と押しで日参し、発注を待つ仕事? いえいえ、そうではありません。自社の商品やサービスをお客様のニーズにマッチングさせ、Win〜Winの関係を築くことこそ、営業の仕事なのです。

著者の工藤龍矢先生は、博報堂出身。アサヒビールの担当を経て、IT関連企業へ転身。上場に寄与された後、中堅中小ベンチャー企業向けの営業コンサルティング会社を立ち上げられた方です。営業プロセスをステップごとにマネージメントし、理論的に売れる仕組みを構築いていこう! これが工藤先生の主張です。

営業本というと、トップセールスマンのノウハウやセールストークetc.のコミュニケーションスキルが中心になりがち。しかし、モノがあふれ、デフレ時代の今、ご用聞き営業や押し売り営業は、もはや通用しません。お客様のビジネスに貢献する価値設計のスキルを磨き、ふんだんな情報提供をする。場数を踏んで足で稼ぐよりも、確率論で売上げを伸ばしていく仕組みづくりに取り組むことが重要というお話は、非常に納得できました。

若手営業マン向けに書かれた本ですが、どんな仕事であっても営業センスが問われる時代です。ビジネスパーソンはもちろん、自営業者やにクリエイターとっても、なるほどという発見がある本じゃないかな〜と思います。気軽に読める新書ですので、書店で見かけたらゼヒ手に取ってみてくださいね。

「勝てる!戦略営業術〜成約の仕組みを構築せよ」
発行:PHP研究所(PHPビジネス新書)
本体:780円
発売:2009年12月
内容:不況になればなるほど、モノが売れなくなるのは世の常。営業ノルマの達成はますます厳しくなっていく。そのために変えるのはスキルではなく、売れる仕組みを築く戦略だ! あらゆる営業キャリアを積んだプロフェッショナルが「勝てる営業」のイロハを徹底指南する。

[目 次]
プロローグ〜人に喜ばれて稼げる仕事が営業だ!
●第1章 仕組みづくりで業績を伸ばせ!
●第2章 ルート営業こそ、営業の王道だ!
●第3章 新規開拓営業で売上げアップ!
●第4章 ソリューション営業で顧客の信頼を獲得!
●第5章 グーグル営業で売れる仕組みを強化!
エピローグ〜不景気な時代だからこそ、営業戦略を磨こう

※てっとり早く本の内容が知りたい!という方はコチラ→「話題の新刊を耳で立ち読み!新刊ラジオ」

No Man’s Land2010年01月24日 11:11

No Man’s Land
在日フランス大使館旧庁舎で開かれているアートイベント「No Man’s Land」に行ってきました。取り壊しの決まった建物を開放、日仏のアーティストの作品で覆い尽くしちゃう大胆なイベントです。

到着すると、ダンボールでできた黒い門がお出迎え。壁にもペイントがしてあって、一言で言えば学園祭のノリです。2棟ある建物のほぼすべての部屋に現代アートの作品が展示してあって、その多彩な表現とボリュームには圧倒されました。オブジェや映像、香りや動きを使ったものなど実験的な作品も多く、とても楽しいひとときが過ごせました。

しかし、建築好きなσ(^_^)としては、大使館の庁舎そのものが興味深かったです。旧庁舎は1950年代に建てられたもので、当時は大使館らしからぬ機能的でモダンな建物として話題を集めたそうです。展示にあたり、かなり変更が加えられているものの、陽当たりのいい空間や、キャビネット類などビルトイン収納の多いオフィスの面影が濃厚に残っていて、懐かしいセントラルヒーティングの設備や担当者の名前が書かれたままのドアetc.を喜んでみてしまいました。一昔前の病院や学校を思わせる空間構成です。

部屋数が多いのにもビックリ。屋上テラスには土が入っていて、屋上緑化の先駆けだなあ〜とか、一番広い角部屋は大使の執務室かなとか見て歩くのも楽しかった。日本なのに確かにフランス。外国文化の気配が立ちこめています。徳川伯爵のお屋敷があった場所だそうで敷地も広く、都心とは思えない緑豊かなロケーションもステキでした。

今後は完全に撤去され、集合住宅になってしまうとか。新庁舎が立派に完成してるし、これも時代の流れなんでしょうけど、なんだかもったいないですね・・・しかし、なかなか行く機会のない大使館を思う存分、探検できる貴重な体験でした(^_^)

写真左:入口に設置された凱旋門風の作品。ダンボールとは思えないしっかりした造りでした。
写真右上:庁舎のエントランス。手前にあるプジョーの車もアートの一部です。
写真右下:日本の男の子が書いた漢字をそのままネオンアートにしたフランス人作家の作品。

☆No Man’s Land (ノーマンズ ランド)
http://www.ambafrance-jp.org/spip.php?article3719
在日フランス大使館旧庁舎にて、1月31日まで開催中(入場無料)。
木曜〜日曜のみ。木曜・日曜は午後6時、金曜・土曜は午後10時まで開館。

〈追記〉
開催期間の延長が決定したそうです!
会期は、2月18日(木)まで。
2月以降は、木曜〜日曜の午前10時から午後6時まで開館。
月曜〜水曜は休館です。(2010.1.28)

シャネル&ストラヴィンスキー2010年01月26日 12:15

シャネル&ストラヴィンスキー
去年から公開が続いている、シャネルの映画第3彈を見ました。

☆シャネルの2つの映画
http://officesasaki.asablo.jp/blog/2009/09/22/4592526

前2作の「ココ・ヴァン・シャネル」は、デザイナーとしてデビューするまでを、「ココ・シャネル」は、戦後の復活と最愛の人ボーイとの悲しい別れを描いていましたが、「シャネル&ストラヴィンスキー」は、第一次大戦前後の時代が舞台。香水“シャネルNo.5”の開発と、作曲家ストラヴィンスキーとの恋を軸に展開していきます。

ストラヴィンスキーといえば、「火の鳥」「ペトリューシュカ」「春の祭典」のバレエ音楽etc.で知られる“不協和音の天才”。映画は「春の祭典」初演が失敗に終わったところからスタートします。伝説のダンサー、ニジンスキーの大胆な振り付けもあり、優雅で華やかなバレエの世界を期待してきた観客は、音楽にも踊りにも怒声を浴びせて席を立ち、会場は大混乱に陥ります。その中で新しい芸術に理解を示し、不敵に微笑むシャネル。

その後、ロシア革命をはさんで家族と亡命してきた失意のストラヴィンスキーに、シャネルは援助の手を差し伸べます。郊外の別荘を一家に提供し、生活をともにするようになる。2人が恋に落ちるのは時間の問題でした。

一つ屋根の下に暮らす妻に悟られ、苦悩するストラヴィンスキーに比べ、モラルを超越したシャネルの毅然とした姿があっぱれです。インスピレーションを受ける相手に惹かれ、刺激を与え合うことを恐れない。

主演のアナ・ムグラリスは、目力が強い意志的な顔立ちで、実際のシャネルはこんな人だったのだろうと思わせるに十分な貫禄です。さすが、現役のシャネルのミューズだけあって(香水と時計のイメージキャラクターを務めているそう)、当時を再現した衣裳の着こなしが見事です。細く長い首、脂肪のない鎖骨や肩甲骨。体型的にもシャネルの雰囲気にぴったりで、くわえタバコで仮縫いをし、ポケットに手を入れて(女性の服に初めてポケットをつけたのもシャネルだそうです)さっそうと歩く姿もサマになって、個人的にはやせぎすタイプが好きではない私も美しいと思いました。

3作の中では、もっともファッショナブルな映画ですね。香水誕生のエピソードがあっさりしていて若干物足りないのですが、2人の才能がぶつかりあい、火花が散る恋愛ドラマとしては見ごたえがありました。

☆映画「シャネル&ストラヴィンスキー」公式サイト
http://www.chanel-movie.com/
監督/ヤン・クーネン
出演/アナ・ムグラリス、マッツ・ミケルセンほか
フランス/2009年/119分
2010年1月より、全国ロードショー開催中!

〈追記〉
Bunkamuraのトークイベントのレポート(ゲストは評論家の秦早穂子さん)が下記にUPされています。ご興味ある方はこちらもどうぞ。(2010.2.22)
http://blue.tricorn.net/bunkamua/j.x?v=3566&u=53244

お茶道具の形見分け2010年01月27日 19:12

形見分けのお茶道具
学生時代から十数年、友人と一緒に茶道を習っていました。結局、着物は1人で着られないし、美しい所作や立ち居ふるまいは身につきませんでしたが、たま〜に抹茶を点てることがあります。お茶が出るお席でも動揺せず、お盆点前ぐらいなら今でもなんとかイケる・・・かな。

習っていた先生が引退されて以来、茶道からは足が遠のいていましたが、先日、お茶道具を受け取りました。昨年の夏、先生が亡くなられ、弟さんが「ゆかりのあった方々に使っていただけたら」と送ってくださったのです。亡くなられたご主人と2人暮らしだった先生は献体の手続きをされていたのでご葬儀もなく、弔問にもうかがえず、淋しく思っていたところでした。

包みをひとつずつ開けていくと、お茶碗、茶杓、ふくさ、菓子鉢・・・お稽古の時に使っていた見覚えのある品が次々に出てきて、胸がいっぱいになりました。懐かしい日々が一気に蘇ってきた感じです。

私たちは晩年の弟子でしたが、お茶会やお懐石にもたくさん連れていっていただき、末席ながらお茶会にも出て、今思えば貴重な経験をたくさんさせてくださったんだなあと思います。機会がなければ、なかなかできないことですもの。しかし、若い頃は本当に無知なもので、お稽古を面倒に感じて、なにかと理由をつけてはサボろうとしたり・・・ああ、なんであの時、着つけをちゃんと習っておかなかったのでしょうか(>_<)

先生は毅然としたところがありながらも、愛嬌のある楽しい人で、茶道と和歌両方の素養からくる美意識を大切にした“明治の女”でした。情の濃い方(ご主人には家庭があり、駆け落ち同然のスタートだったと後に知りました)で、ダンナ様にも弟子にも愛情いっぱいだったなあ。着物を粋にお召しになり、背筋がピンと伸びた元気な頃のお姿が今もありありと浮かびます。先生とのご縁に感謝しつつ、大切に使わせていただこうと思います。

写真:向こうから順に、竹の花入れ、夏茶碗、茶碗、菓子鉢、香炉、なつめ、蓋置、茶筅、茶杓、古袱紗。本当に懐かしい品々ばかりでした。