老いる準備2008年11月30日 12:26

老いる準備
「おひとりさまの老後」(上野千鶴子=著 法研)がベストセラーになっています。関連本も増えて、いまや「おひとりさま」もちょっとしたブームの感がありますね。

でも、私にとって「おひとりさま〜」は、正直う〜ん・・・でした。というのも、上野さんと言えば、「女遊び」「スカートの下の劇場」「ミッドナイトコール」などを愛読していたからです。フェミニズムの旗手というイメージが強い方ですが、バリバリの男女同権論者とは違う繊細な視点、揺れ動く心を的確に表現する学者らしくない文体にこそ、共感を覚えていたので、「なーんだ、最後はみんな一人じゃない」とあっけらかんと言われても・・・と、かなり違和感がありました。

「老いる準備」は、久々に手に取った上野さんの著作でした。「I am peaked.(人生の峠を越す)」という言葉を引用したプロローグからして、ガツンと来たのですが(^_^;) 敬愛する繊細な視点がここにはきちんと息づいていました。

上野さんの指摘にあるように、若い頃の想像力の射程のなんと狭く、短かったことか。年齢に応じて変化する興味にしたがって社会の問題を見通し、提言するしなやかなアプローチは一貫していたんですね。社会学者としてのお仕事の幅広さがよくわかります。そして、時代のムーブメントになっていく・・・のはやっぱりさすがです!

すでに少子・高齢化社会が始まっているのに、自分の親も70代に突入して決して他人事ではないのに、介護保険のことも、行政や民間のフォロー体制のことも全然知らないことに、あらためて気づきました。

第4章のワーカーズ・コレクティブ関連は、現場に携わる方以外は、やや退屈かと思いますが、自分自身が年を重ねること、介護をする立場に、あるいは介護される立場になった時に関して、深く考えさせられる本でした。2005年に出た単行本の文庫化ですが、現状に即した記述にアップデートされているようです。

巻末エッセイをお寄せになった森清先生から、ご恵贈いただきました。示唆に富む本との出会いをつくっていただいたことに心より感謝いたします。

「老いる準備〜介護すること、されること」
発行:朝日新聞出版(朝日文庫) *一部、立ち読みできます
本体:660円
発売:2008年11月
内容:大ベストセラー『おひとりさまの老後』の著者が、自らの老いと向き合い、老後や介護、自立、ケアワーク、家族について、気負わず、わかりやすく語る。家族による介護は本当に幸せか、介護保険で何が変わったか、団塊世代はどのように老いるのか、人生の秋を味わうためにどんな準備や心構えが必要か、などをふだん着の言葉でつづった一冊(内容紹介より)。
[目 次]
●第1章 向老学の時代へ
●第2章 介護と家族
●第3章 介護保険が社会を変える
●第4章 市民事業の可能性
●第5章 ニューシルバーが老いを変える

コメント

_ Buckeye ― 2008年11月30日 15:17

pearked→peaked、ね。修正したら、このコメント、消しておいてくださいませ。

_ KT ― 2008年11月30日 18:05

Buckeyeさん、ご無沙汰してま〜す。
ご指摘、ありがとうございますm(_._)m
いやいや、お恥ずかしい・・・(>_<)
自戒を込めて、コメントはこのままにさせていただきます(^_^;)

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