映画「渾身」 ― 2013年01月21日 09:21
島で生まれ育った多美子は、夫の英明と前妻の娘、琴世と穏やかに暮らしていた。島を飛び出した過去のある英明は、周囲の人々に認めてもらうため、古典相撲をはじめ、遂に20年に一度の相撲大会には最高位の正三役大関に選ばれる。地区の名誉と誇り、家族への想いを賭けて、生涯に一度の大一番に挑む——
相撲の原点と言われる隠岐古典相撲を題材にした映画です。隠岐の美しい自然をバックに、出雲大社に次ぐ格式を誇る隠岐一之宮・水若酢(みずわかす)神社の遷宮相撲を中心に物語は進んでいきます。
島伝統の相撲を愛し、大切にしている人々。相撲が国技である意味、神事に奉納されていたというルーツがよくわかりました。大地に向かって四股を踏み、五穀豊穣を祈る力士は神聖な存在なのですね。なんの道具も使わず、鍛え上げられた生身の肉体がぶつかりあう取り組みは迫力があり、力強い躍動感がありました。
行司や呼び出しさんの口上、口跡の見事さにもほれぼれ。土俵の準備から練り歩き、土俵入り。そして、一晩に300番もの勝負が繰り広げられる興奮が丁寧に描かれ、伝統行事に込められた知恵と祈り、日本人の大切にしてきたものがしみじみと伝わってくる作品でした。
大相撲初場所が開かれていますが、幕内で活躍中の
隠岐の海(イケメン力士としても注目だそう)は、隠岐島から誕生した初の幕内力士だったんですね。古典相撲がいまの大相撲にも脈々と受け継がれているんだなあ。まだ行ったことのない隠岐諸島を訪ねてみたくなりました。
監督/錦織良成 原作/川上健一
出演/伊藤歩、青柳翔、甲本雅裕、笹野高史ほか
日本/2012年/134分
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