おくりびと2008年10月22日 17:23

おくりびと
納棺に立ち会った経験をお持ちですか?

葬儀やお通夜に出向くことはあっても、納棺の場に居合わせる機会は少ないですよね。私は父方&母方の祖父母をはじめ、数回、立ち会いました。哀しいけれど、貴重な経験だったと思っています。

このあいだの三連休に映画「おくりびと」を見ました。
オーケストラでチェロを弾く主人公は楽団が突然、解散し、失業。故郷の山形へ帰ることを決めます。求人誌に掲載された募集を見て会社訪問したら、なんと納棺師(遺体を棺に納める仕事)見習いとして採用されてしまい—————

主人公を演じるモックンがいい感じです。ストーリー自体もテンポよく進んで、ユーモラスなシーンもたくさんあり、扱っているテーマは厳粛なものですが、おもしろいドラマとして、サラリと見られました。チェロの音色とともに、舞台となった山形の四季折々の景色が美しく展開されて、春夏秋冬のうつりかわりと人間の一生がオーバーラップする映像がきれいでした。

地方や宗教によって、納棺の儀式はかなり違うのでしょうけれど、なるべくきれいな姿であの世へ送りたいという遺族の気持ちは全国共通のものでしょうね。先月、伯父が亡くなったばかりなので、映画の中のシーンがよりリアルに感じられました。人が生きて、死ぬということの重みをあらためて考えてしまいます。

遺体が暮らしていた家に戻って安置され、少しずつあの世への旅立ちの支度をする。現世とのお別れの第一歩が「納棺」だと思います。納棺の技術も昔より洗練されていて、伯父の「支度」は真っ白な綿を丹念に折りたたんだ紋付き袴姿に仕上げられ、大変驚きました。

原作ではありませんが、「おくりびと」はモックンが、下記の本を読んで「ゼヒ映画化したい!」と切望したことから生まれた映画だそうです。富山の葬儀社で長年、納棺の仕事に従事した方が書かれた本で、同県生まれの私としては、映画の舞台も富山だったらな・・・と少し残念に思いました。ちなみに監督は、富山県高岡市(同じです!)出身の方です。

アカデミー賞のノミネート作品に残るといいなあ(外国語映画賞は5作品に絞られるようです)。ロングランになりそうなので、本木雅弘ファン&ご興味のある方はゼヒ。

☆納棺夫日記(青木新門=著 文春文庫)
http://www.amazon.co.jp/dp/4167323028/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1224660962&sr=1-1
"死"と向い合うことは、"生"を考えること。長年、納棺の仕事に取り組んだ筆者が育んできた詩心と哲学を澄明な文で綴る"生命の本"(出版社の内容紹介より)。

☆おくりびと
http://www.okuribito.jp/
監督/滝田洋二郎
出演/本木雅弘、広末涼子、山崎努etc.
日本/2008年/130分
第32回モントリオール世界映画祭グランプリ受賞
第81回アカデミー賞外国語映画賞日本代表作品
2008年9月より、全国ロードショー開催中!