静物画の秘密展2008年09月08日 19:06

静物画の秘密展
チケットをいただいたので、日曜は新国立美術館へ。副都心線の開通で、六本木方面にも行きやすくなりました。

開催中の企画展は、ハプスブルク家が収集した美術品を所蔵するウィーン美術史博物館のコレクションから「静物画」をセレクトしたもの。しかし、ポスターetc.はマルガリータ王女の肖像画(ベラスケス作)だったため、ジツはそれだけ見てくればいいか・・・ぐらいの気持ちで出かけたのです(^_^;) 

というのも、西洋の静物画といえば、卓上に果物や花などが並んだ作品が思い浮かぶのですが、なぜ、こういう画題が描かれるのか、正直、ピンと来ていなかったのです。花鳥風月を愛でる東洋の絵と比べ、モチベーションがよくわからないというか・・・でも、今回の展覧会で静物画に対する認識が変わりました。

四季折々の収穫物が精緻に丹念に描かれていて、とても迫力がありました。収穫の喜び、自然の造形の美しさを表現しようとする意図が明確で、非常に写実的に描かれているのだけど、スーパーリアリズムとはまた違った、みずみずしく輝くような存在感が素晴らしかったです。

そもそも静物画は、16世紀末にオランダで成立したそうで、ジャンルとしては案外、新しいのですね。歴史画・神話画・宗教画・肖像画のほうがより早い。言われてみれば、そうなんだ〜と納得しますが、ちょっと意外でした。その意外感は展示にも続き、たとえば、最初のコーナーは「雄牛の解体」という作品から始まります。

「これも静物?」と不思議な気がしましたが、オランダ語で生まれた静物、“still even”という言葉は“黙した生命”という意味で、フランス語ではもっと直接的に“nature morte”、“死んだ自然”という意味になるのだそうです。うう、全然、知らなかった・・・静物という言葉にそんな意味があったなんて・・・

狩猟画というカテゴリーもあって、狩りで仕留めた獲物が克明に描かれています。モチーフとしては無残なイメージがありますが、作品自体はむしろ静謐な印象でです・・・まさしく、黙した生命、死んだ自然そのものです。

同じコーナーに展示されていたバルテュス(虚栄)画は、髑髏(死を想え)や砂時計(時は流れる)で人生のはかなさや虚無を象徴するものだそうですが、それらの作品とのとのつながりもわかって、これが西洋の諸行無常の表現なのかと認識を新たにしました。

目玉のベラスケス・・・もよかったのですが、前半の人物があまり出てこない“黙した生命”主体の展示が、特に印象に残りました。わかりやすい解説が載った秘密パネル(展覧会タイトルにひっかけてですね)があちこちに掲げられ、シロウトにも理解しやすい構成で見応えたっぷりの展覧会でした。

☆ウィーン美術史美術館所蔵/静物画の秘密展
http://wien2008.jp/
9月15日(月・祝)まで、国立新美術館にで開催中。仙台・神戸・青森に巡回予定。