ジョン・レノンがもっとも愛した街、自分自身を取り戻した街、そして彼の命を奪った街、ニューヨーク。彼と活動をともにした友人、ミュージシャン、そしてオノ・ヨーコの証言をもとに、ジョンの後半生に迫る——
先週、試写会で見た映画です。
「ダブル・ファンタジー」は大好きなアルバムで、ビートルズにもお気に入りの曲がたくさんあるけれど、ジョン・レノンが解散後、アメリカに渡り、どんな生活を送っていたのかはよく知りませんでした。
今回、この映画を見て、ヨーコ・バッシングが巻きおこるイギリスに嫌気が差して渡米したものの、その影響の強さゆえにアメリカ政府からマークされ、国外退去を命じられていたことetc.を初めて知りました。本当に平穏な生活が訪れたのは、息子ショーンが生まれ、永住権を獲得した最後の数年だけだったのですね。
今やアーティストとして評価されているヨーコも、イギリスの人々には、得体の知れない「東洋の魔女」がビートルズに割り込み、レノンを奪ってしまったように感じられたのでしょう。当時の写真は日本人の私が見てさえ、異様な存在に思えます。しかし、映像の中のヨーコはコケティッシュで可愛く、とても魅力的な女性。ジョンにとっては運命の出逢いであり、かけがえのないミューズだったのだということがよくわかります。
数多くの映像と貴重な音源で綴られる、ニューヨークでの9年間。ジョン自身の歌声
とともに、あの時代の空気を伝えてくれる映画です。最後のアルバムを発表した後、突然この世を去り、伝説の存在となってしまったジョン・レノン。彼を愛する人々が捧げる限りないオマージュが伝わってくる秀作ドキュメンタリーです。
監督/マイケル・エプスタイン
出演/ジョン・レノン、オノ・ヨーコ、エルトン・ジョン他
アメリカ/2010年/120分
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