どうしてこれほど人を引きつける力があるのだろう、と不思議に感じます。
窓から差し込む光、1つ1つの調度品、人物の表情、衣裳・・・・・
絵の前にいつまでもいたくなるほど、見飽きないのはなぜ?
「地理学者」は1669年に描かれた作品だそうです。
約350年前に制作された絵が、時代を超え、海を越えて、
2011年の今、ここにあるということが、奇跡のように思われました。
大震災の影響で中止になった展覧会があり、多くのイベントが自粛されたのに、
長年のあいだ受け継がれてきた作品が、
この春、日本の美術館に置かれ、静かな美の感動を伝えている。
あまりにも大きい震災の爪痕に打ちのめされ、
無力感に襲われた、私たちの心を癒してくれる贈り物のように・・・・・。
絵を見て、こんな気持ちになったのは初めてです。
一緒に展示されていた静物画、風景画、肖像画etc.
同時代に描かれたオランダ・フランドル絵画も見応えがあり、
地震直後の強烈な映像が残る目が、やさしく洗われていくようでした。
“二次的トラウマ”や“共感疲労”という現象が、実際あるようです。
被災地のみなさまとは比べようがありませんが、
やっぱり“3.11”以来、疲れていたのでしょう。
そして、今年の終わりには、13作品目のフェルメールに出会えます。
“手紙”をモチーフにした3作品が展示予定だそうです。
順路を逆行して何度もフェルメールの前に戻ってしまう私に
つきあってくれた、友人のデザイナー、Gさんに感謝!
ランチしながら、おしゃべりにも花が咲き、楽しいひとときでした。
こういう何気ない日常がどんなに大切でかけがえのないものか。
ご苦労が続く方々に思いを馳せながら、しみじみと思うのでした・・・(涙)
最近のコメント