「家族の肖像」デジタル完全修復版2017年02月10日 16:21


家族の肖像フライヤー

「家族の肖像」と呼ばれる家族の団欒画コレクションに囲まれて、ローマの豪邸に1人暮らす老教授。失われたものたちに埋もれ、孤独に生きていた生活が、ある家族の闖入によってかき乱されていく——

家族の肖像パンフ

生誕110年、没後40年を記念して昨年から再公開が続く、ヴィスコンティ作品の掉尾を飾るのが「家族の肖像」です。日本では1978年の初公開時から数えて、実に39年ぶりにスクリーンに蘇ります。えっ、そんなに経ってるの?と驚きましたが、昔はリバイバル上映する名画座がまだまだあったんですね。

ヴィスコンティ作品は短編のドキュメンタリー以外はすべて見ていますし、何回も見直している作品もありますが、「家族の肖像」は映画祭やテレビ放映etc.でも機会がなく、ほんとうに久しぶりに見ることができました。

絢爛豪華な貴族の世界とはまた違うテイストの作品。前年に病に倒れたため、完全な室内劇ですが、緻密に計算されたヴィスコンティの演出の凄みが伝わってきます。若い頃はストーリーを追いがちですが、老教授の心境にシンクロして見てしまうのは、それだけ歳をとったということでしょう(苦笑)

家族の肖像パンフ2

バート・ランカスターの渋い老教授役は素敵ですが、やっぱりヴィスコンティ映画のヘルムート・バーガーは別格です。どのシーンでも存在感があり、ファッションも決まっていて、あと10年ヴィスコンティが生きていたら、彼も名優と呼ばれ、ランカスターのような役を演じることもあったのでしょうか。去年、怪作「俳優、ヘルムート・バーガー」というドキュメンタリーを見てしまったので、余計にそう思うのでした…。

デジタル完全修復版の制作には、イタリアのファッションブランドFENDIが協力したそうです。全体にアンダーな画面ですが、シルヴァーナ・マンガーノが着用している毛皮のコートの質感が見事に再現されていました。レトロなアパルトマンがモダンなインテリアに生まれ変わる場面もイタリアらしく、興味深かったです。

「家族の肖像」デジタル完全修復版
監督・脚本/ルキーノ・ヴィスコンティ
出演/バート・ランカスター、シルヴァーナ・マンガーノ、ヘルムートバーガーetc.
イタリア=フランス/1974年/121分
2017年2月11日より岩波ホールほか、全国順次ロードショー!


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