真央ちゃん、銀メダル!2010年02月26日 23:02

浅田真央、銀メダル!
真央ちゃん、銀メダルおめでとう! しかし、試合後のインタビューで彼女は泣きじゃくっていた。キムヨナに負けたのが悲しいのではない。パーフェクトの演技ができなかった自分が許せないのだ。初めての五輪で銀メダル。そこに満足しない彼女は本当に素晴らしい。

韓国のキムヨナは、パーフェクトの演技をした。確かにノーミスで滑りきった彼女の実力はたいしたものだ。が、ジュニア時代からライバルと言われた2人の演技は、今やまったく違ってしまった。キムヨナの演技は、勝利を得るための手段を逆算し、計算し尽くされたもの。浅田真央の演技は自分の技を積み上げた先に勝利があると信じたもの。ベクトルの方向がまるで違う。

いつ頃からだったろう。ルール改正もあり、キムヨナの演技には非常に高い得点が出るようになった。誤解を恐れずに言えば、演技の印象よりも得点のほうがはるかに高い。減点を最小限にとどめ、加点を最大限にゲットする。そういう戦略的なプログラムに変わっていったのだ。

キムヨナのコーチ、ブライアン・オーサー氏は、カナダ出身のスケーター。かつては“Mrトリプルアクセル”と呼ばれた人だ。しかし、金メダルが期待された地元開催のカルガリ五輪で失敗。銀メダルに終わる。「真央に勝つためにトリプルアクセル教えてくれ」と懇願する彼女を説得し、リスクの高いトリプルアクセルを回避させたのはコーチの影響も大きいという。

バンクーバー五輪は、“同い年のライバル”の対決を超え、オーサー氏には母国での雪辱戦、韓国では官民挙げて取り組む国歌的なプロジェクトになってしまった。北米大陸を意識した選曲(「007」は嫌いじゃないけど、SPはエキシビジョンじゃないはずだ)、採点方式に沿って緻密に練り上げられたプログラム。勝つための戦略としては正解なのだろう。実際、計算通り、いやそれ以上の結果が出た。

それに対して、真央ちゃんは自分の最大の武器であるトリプルアクセルにこだわり、フィギュアの王道を歩ませようとするタラソワコーチとともに、リスキーかつ難度の高い技に挑み続けた。重厚な曲、技と技のつなぎの部分にまで、芸術性のある動きを入れようとする苛酷なプログラム。今シーズンの低迷は、浅田自身が自らに課したハードルの高さの現れにほかならない。

調整は長引いたが、五輪でのトリプルアクセル成功は、伊藤みどり以来。しかもショート&フリーで3回の成功は、女子世界初の快挙だ。浅田真央は間違いなく、記録にも記憶にも残るスケーターになったのだ。審判やルールによって変わる得点ではなく、自分自身の技で。アクセル以外でも鳥肌が立つほど凄みのある演技だったと感じるのは私だけだろうか。

“世界最高得点”の金メダリスト、キムヨナは世界選手権を待たず、これで引退するかもしれない。しかし、真央ちゃんは今後も競技を続けるはずだ。4年後のソチ五輪で彼女は23歳。トリノ五輪の荒川静香よりも若いのだから。まだあどけなさの残る彼女が今後、“大人の女性”してどう花開くのかが楽しみだ。ライバルが去り、新しいライバルが登場しても、彼女の道はこれからも続いていく。

PS
男子女子6人全員入賞すること自体、フィギュア史上まれに見る快挙ですね。日本人として誇りに思います。

〈追記〉
冷静に分析したブログ記事を見つけました。(2010.2.27)
 ↓
☆フィギュアスケートと採点
http://d.hatena.ne.jp/font-da/20100226

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