シャネルの2つの映画 ― 2009年09月22日 23:08
オドリィ・トトゥ主演(「アメリ」の女の子がすっかり大人の女性に!)の「ココ・アヴァン・シャネル」は、若き日のシャネルの物語。財産も教育もない孤児の彼女がデザイナーとして自立していくまでを描いています。シャーリー・マクレーン主演の「ココ・シャネル」は、15年の沈黙を経て70歳にして復帰。その最初のコレクションが不評に終わるなか、過去を回想するところからスタートします。エピソードが重なりつつも、アプローチが全然違うので両方楽しめました。
「アヴァン〜」のほうは孤児院で育ったシャネルの不幸な生い立ち、上流階級の愛人に冷たい仕打ちを受けながらも、才能と機知とセンスで切り込んでいく姿が痛快です。コルセットで身体を締め上げ、装飾の多いドレスをまとうのが当然だった時代。シャネルが提唱したシンプルでラクに着られるモードがいかに斬新で鮮烈なメッセージを放っていたことか! ファッションとは主張であり、個性であり、生き方であるとことがよくわかります。
シャネルはかなり痩せた人だったので、当時の服装が似合わなかったせいもあるのでしょう。しかし、紳士物の生地でつくったジャケットやドレス、ゆったりした部屋着でもあるパジャマ、漁師の服から着想を得たマリンルックなど、定番スタイルの数々がシャネルによるものだと初めて知りました。主演のトトゥがこれまた、その手の服がハッとするほど似合うんですよね〜強い意志を秘めた彼女の眼差しにホレボレしてしまいました。
「ココ・シャネル」では、帽子デザイナーとしての出発、着心地のいいジャージー素材を使ったスポーツウェアなどで支持を集めていくプロセスも描かれていました。酷評された最初のコレクションの失敗にめげず、不屈の闘志を燃やすシャネル。今では誰もが知るシャネル・スーツを中心にした復帰2回目のコレクションは、とても素敵で見とれてしまいます・・・現代でもまったく古びない究極のエレガンスはやっぱりさすが! 彼女の晩年までの生涯を知りたい方にはこちらがおすすめですね。
しかし、ココ・シャネルという人は自分の美意識と才能を貫いた、すごい女性だったのですね。世界的な成功と華麗な人脈の影に隠れた、哀しい生い立ちと愛する人との別れ。まさにドラマティックな人生です。彼女をテーマにした映画や舞台が続々と登場するのも納得。来春にはなんと下記の映画も公開されるそうです。
☆映画「シャネル&ストラヴィンスキー」
http://chanel-movie.com/
(公式サイトなのにまだトップページだけ・・・)
http://www.bunkamura.co.jp/cinema/lineup/index.html
(ずずっと下にスクロールしてください。2010年お正月第2弾ロードショー予定)
☆映画「ココ・アヴァン・シャネル」公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/cocoavantchanel/
監督/アンヌ・フォンテーヌ
原作/エドモンド・シャルル=ルー
出演/オドレイ・トトゥ、ブノワ・ボールブールド、マリー・ジランほか
フランス/2009年/110分
丸の内ピカデリーほか、全国ロードショー!
☆映画「ココ・シャネル」公式サイト
http://coco-chanel-movie.jp
監督/クリスチャン・デュゲイ
出演/シャーリー・マクレーン、バルボラ・ボブローヴァほか
アメリカ・フランス・イタリア/2008年/138分
Bunkamuraル・シネマほか、全国ロードショー!
アニエスの浜辺 ― 2009年09月23日 23:50
案内状を見た時、「えっ、まだご存命だったの?」と失礼極まりない反応をしてしまったのですが、81歳の今なお、創作意欲は衰えず。レニ・リーフェンシュタール亡き現在、世界最高齢の女性監督でしょう。
彼女の人生を彩ってきたベルギー、フランス、アメリカ西海岸の浜辺を巡る旅を思い立ったアニエス。回想の中で紡がれる思い出の数々は、個人的なメモリアルを超え、現代史、映画史そのもの。カメラマン出身らしい美しい映像で描き出されます。
彼女自身の生い立ち、創作活動の中で出会った大勢の映画人たち。「シェルブールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」などミュージカル映画の名作をつくった亡き夫、ジャック・ドゥミとの生活。不治の病に倒れた彼の不在を嘆き、涙ぐむアニエスの姿は一人の女性としてのチャーミングさが漂います。
しかし、アーティストとしては、今なお現役、これからも現役。長いキャリアを持つ大人の女性の風格を漂わせながらもキュートで、若いスタッフの心をつかむ、みずみずしい感性とユーモアはさすがです! フランスにはシャネルやジャンヌ・モローなど、年齢を重ねても魅力を失わず、エレガントで男前な女性がたくさんいますね。足元にもおよぴませんが、心意気だけでも見習いたいものだ・・・と思います(^_^;)
☆特集上映「アニエス・ヴァルダの世界」
http://www.iwanami-hall.com/contents/special/special.html
9月26日〜10月9日、岩波ホールにて開催!
(アニエスと夫ジャック・ドゥミの7作品を上映。東京日仏学院に続く第2部です)
☆映画「アニエスの浜辺」
http://www.zaziefilms.com/beaches/
監督・脚本/アニエス・ヴァルダ
出演/ジャック・ドゥミ、ジャン=リュック・ゴダール、ジェーン・バーキンほか
フランス/2008年/113分
10月10日(土)より、岩波ホールでロードショー!
夏の京都旅行1〜はしたて ― 2009年09月25日 18:21
☆京都市営地下鉄のマスコット?(本ブログの過去記事です)
http://officesasaki.asablo.jp/blog/2009/08/04/4479011
初日は、昨年開業したばかりのスバコ・ジェイアール京都伊勢丹の中にある「はしたて」でランチ。ここは大徳寺にある紫野和久傳が経営するお店。料亭の味が気軽に食べられるということで、一度行って見たかったのです。昼は予約できず、混むらしいのですが、開店少し前に到着。おトクな限定ランチが余裕でオーダーできました(^_^)
メニューは「鱧と冬瓜の梅飯蒸し/鱧スープと葱煮麺(にゅうめん)/賀茂茄子の冷やし煮/インゲンの和え物」で、夏の京都らしい食材づくし♪ どれも丁寧につくられたヘルシーかつ上品なお味でした。一見、ボリュームが少なそうに見えますが、最後に名物のれんこん餅をいただいたら、かなりお腹が一杯になりました。
はしたてのコンセプトは「丼とお鍋のお店」で、お持ち帰りメニューも充実しています。予約してお土産に買って帰った鯖ずしがまた美味しかった! 新幹線への動線も無駄がなく、駅ビル内のお店って旅行者にはありがたいですね(^_^)
写真左上:7月の限定ランチ。賀茂茄子とにゅうめんが特にGOODでした。
写真右上:れんこんに和三盆を練り上げたお餅に、黒豆のきなこがたっぷり。わらび餅とはまた違った食感が独特。
写真下:モダンで清潔感のある店内。カジュアルな雰囲気だけど、落ち着けます。
☆お丼とお鍋のお店「はしたて」(スバコ・ジェイアール京都伊勢丹3F)
http://www.wakuden.jp/news/hashitate.html
丼仕立てのちょっとリッチなお弁当を買って車内で食べるのもいいかもと思いました。お鍋は残念ながら夜だけなんですって。
夏の京都旅行2〜仙洞御所 ― 2009年09月27日 09:25
3カ月前の1日から受付開始ですけど、申し込み多数の場合は抽選、春秋の一部を除いて原則平日のみと、かなり制約が多いのでした(>_<) さすが役所、融通が利かないな〜と思ったのですが、頑張って手続きしただけのことはありました。
最初に訪れたのは、広大な京都御苑の中にある仙洞御所。現在も天皇陛下が京都にいらした時はここにお泊まりになり、外国からの賓客のおもてなしに使われる茶室etc.もある現役の(?)御所です。室内は見せていただけませんが、庭園だけでも十分見ごたえのあるものでした。
今なお陛下が舟遊びに使われることもあるという広い池、見事な苔で覆われた土橋、浜辺を模して丸く平たい石を並べた州浜、月見の絶景ポイントなど、豊かな緑と変化に富んだ広い庭園は見どころがいっぱいでした。春の桜、秋の紅葉、雪景色もきっと素敵だろうなと思います。
ガイド役の職員の方に引率されて20人ぐらいのグループで行動するのですが、各ボイントの説明付きでゆっくり1時間ぐらいかけて見られます。写真撮影も自由。ガイドさんに言わせれば花も紅葉もなく、説明の張り合いのない季節らしいのですが、なんて言ったらいいんだろう。年月をかけて庭を育て、四季折々の表情をめでて遊ぶ、宮廷文化の一端が理解できたような気がします。
こんな素晴らしい庭園を無料で参観できるなんて! さすが宮内庁、太っ腹。手続きのメンドクささに文句タラタラだったのに、参観終了後は手のひら返しな反応にすっかり変わっていたのでした(^_^;)
写真左上:全体が藤棚で覆われた八ツ橋。花が満開の時はどんなに見事なことか。
写真右上:水面に映る木々の緑と築島の造形、建物との調和が美しく目が洗われるようでした。
写真左下:外人の参観者のほうが多いのは意外でした。パスポートで身分確認できるせいか、手続きが簡単らしいですね。最後尾で皇宮警察の人がなにげに見張っています。
写真下右:仙頭御所の入口。参観時間の20分前にならないと入れません。控え室で解説ビデオを見てから参観します。
☆宮内庁参観案内/仙洞御所
http://sankan.kunaicho.go.jp/guide/sento.html
夏の京都旅行3〜風俗博物館 ― 2009年09月28日 19:03
風俗博物館とは、源氏物語の世界を今に伝えようと光源氏の屋敷、六条院の一部を4分の1サイズで再現したもの。寝殿造の建物の中に当時の衣裳をまとったお人形が並び、行事や生活シーンなどが色鮮やかに再現されています。この博物館は「井筒」という法衣店の社長が私財を投じ、ライフワークとして運営しているとか。う〜ん、すごい。写真ではわかりにくいのですが、かなり巨大です。
何カ所かにある台に昇って、全体を俯瞰することもできるので、部屋の間取りや大きさ、廊下のつながり具合、庭園の造形がわかっておもしろいですね。展示は季節ごとに変わり、四季折々の行事や服装、それに応じたシーンが設定されるようです。源氏物語ファンや当時の装束や風俗に興味がある方は必見ですね。
写真左上:紫の上とくつろぐ光源氏。しどけない雰囲気が色っぽいですね。
写真右上:現物で見ると当時の色彩感覚がよくわかります。季節感があって華やかなコーディネートの数々。
写真左下:御簾や几帳、衝立、ふすまでうまく仕切られた室内。家具や調度品も精密につくられています。
写真右下:恥ずかしながら十二単衣にチャレンジ。殿方用の衣裳も何種類か用意されています。職員の方によるポーズ指南も含め、無料でした(^_^;)
☆風俗博物館〜よみがえる源氏物語の世界
http://www.iz2.or.jp/info/index.html
サイトのコンテンツも非常に充実しています。ただ、ミュージアムとしてはちょっと誤解を招くネーミングなので、個人的には「平安」とか「源氏」とか付けたほうがいいんじゃ・・・と思います(^_^;)
最近のコメント