この世でいちばん大事な「カネ」の話 ― 2009年02月13日 11:22
第1章 どん底で息をし、どん底で眠っていた。「カネ」がないって、つまりはそういうことだった。
第2章 自分で「カネ」を稼ぐということは、自由を手に入れるということだった。
第3章 ギャンブル、為替、そして借金。「カネ」を失うことで見えてくるもの。
第4章 自分探しの迷路は「カネ」という視点を持てばぶっちぎれる。
第5章 外に出て行くこと。「カネ」の向こう側へ行こうとすること。
要するに、青少年に向けて、働くこと、お金を稼ぐこと、自立することの大切さを説明している本なんですけど、サイバラの生い立ちがソーゼツで、上京後の「自分で食えるようになるまでの道のり」がめちゃくちゃリアルでわかりやすいので、非常に説得力があるのです。マネー教育とか自己実現なんて言葉をすっとばして、人生とカネの問題をこれでもか!というほど明快に教えてくれます。
でも、稼いでナンボ、身体張ってナンボっていう話に終わらずに、「好きなことで/お金かせいで/好きなごはん/毎日食べる」(2章がイイんだけど、この言葉が書かれたイラストつきのページがすごく好き♪)しあわせとか、地に足のついた金銭感覚の大切さとか、貧しさが次の世代にまで受け継がれていく悲惨さetc.にも触れています。
戦場カメラマンだった亡き夫の鴨ちゃんもサイバラも、アル中の父親を持っていて、おたがいがそこから抜けだしたかった。突撃取材で訪れたアジアの貧しい子どもたちに昔の自分を重ねあわせています。2人のライフストーリーもまた哀しくて・・・発展途上国にくらべれば、まだまだ豊かなニッポンだけど、貧困はすぐ身近にある。
サイバラって超現実主義の無頼派なクセに、人間がいくつになっても持っている(はずの)ピュアな部分を刺激してくるんですよね〜。世間の荒波にもまれてもすり切れない彼女の抒情にいつもグッときてしまいます。
鴨ちゃんの分も彼女は生きて、子どもたちが大きくなったら、世界のどん底にいる子どもたちのためになにかするんじゃないかなあ。感動したよ、サイバラ。共感するよ、サイバラ。アンタの仕事がもっと見たいよ、サイバラ。
これから社会に出て行く子どもたちだけじゃなく、ちょっとくたびれかけた大人にも読んでもらいたいな。元気が出るけど泣けちゃう、不思議な本だと思います。
☆この世でいちばん大事な「カネ」の話(西原理恵子=著 理論社)
出版社のPRサイト(立ち読みできます)
http://www.rironsha.co.jp/special/kane/index.html
アマゾン(カスタマーレビュー多数。最高傑作の声も)
http://www.amazon.co.jp/dp/4652078404/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1234342891&sr=8-1
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